急ぎ作るべき文化復興の環境
新しい年が明けました。この年の始めにあたり、昨年を振り返れば、この一年も実に色々なことがありました。 一番嬉しかったことは、多くの新しいお客さまにお越しいただき、お目に掛かれたことです。新しい出会いは何時も大変楽しいことです。これからどんなお付き合いが待っているのかを想像することは、商いをする者にとって最大の喜びです。
一番悲しかったことは、呉服を消費するお客さまの減少に歯止めが掛からず、特にこの秋以降、それが顕著に現れたことです。 社会一般でも過去には考えられない血なまぐさい事件か連日のように続き、商いの世界 でも、偽装表示が毎日のようにニュ-スとして話題を賑わしました。
政界でも日替り大臣が登場したり、揚句の果てには総理大臣までもが、自らの椅子を投げ出すなど、考えられない非常識、無責任なことが続きました。 また、官の世界でも防衛省事務次官の接待漬けは別にしても、薬害肝炎、年金問題、など、ここまでに至れば、それはもう犯罪としか思えません。
私どもの業界でも、次々商法と世間さまからひんしゅくをかう業者が出てきたり、デート商法と呼ばれるホストクラブまがいの商売をしている業者がいることは、残念ながら事実であります。 どうして、このような社会になってしまったのでしょうか。良識とか、モラルは何処へ行ってしまったのでしょうか。 マスメデイアの世界ではニュ-スとして取り上げ、論評もしてはおりますが、このような事件が少しでも減るならばともかく、段々に増えると云うのは何故なのでしょうか。 社会が悪い、政治が悪いと云うのは簡単す。でも、云うだけでは一向に良くはならないと思います。 この無責任で自己中心的な、しかもかなりの重症な、この風潮を正さなければ、日本は益々悪くなる一方だと思います。
日本をこのような国にした責任は、時の為政者と我々国民にもあると考えますが、特にバブル崩壊後は酷いと思わざるを得ません。 一部の拝金主義者が成功を収めたことに象徴されるように、儲かることには何でもありと云うような風潮が、この国をとんでもない国にしているように思えてなりません。 その一方で、日本人一人当たりのGDPがOECD加盟国中2000年の世界第2位から、今や第13位に転落している現実をみれば、如何に能天気な日本人でも少しは考えて良いのではないでしょうか。 今日の私は政治向きの話をする気はありませんが、しかし、このような現実が日本の文化の本質的崩壊を招いているように思えてならないのです。 私が思うに文化とは心です。心があるから形にもなるのです。きものも文化の一つの形です。三段論法ではありませんが、きものの衰退を見ていると日本社会の荒廃と無縁ではないように感じられます。 今こそ、文化を取り戻すべきです。それも形でなく本質を。それが日本のためばかりでなく、世界にも貢献出来ることに繋がると思います。 為政者もこのことに気がつくべきです。そして文化復興の環境を作るべきです。これは本当は大変なことです。憲法改正の論議にも一石を投じることかも知れません。 しかし、それが日本人の心に名誉や、プライド、思いやりの心などを取り戻すことになるのならば、ぜひそうなって欲しいと願わざるを得ません。 また、そうすればきものも日本文化の象徴として日本人の心に深く刻まれることにもなりましょう。
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